人を裁く権利は誰にあるのか | ミステリー『検察側の罪人』

2018年10月30日

タイトル

木村拓哉はいつも通り木村拓哉なんだけど、それでもぴったりとハマった配役だと思う。

※ネタバレ有りの感想なのでご注意下さい

あらすじ

東京地方検察庁刑事部に配属された検事の沖野啓一郎(二宮和也)は、有能で人望もある憧れのエリート検事・最上毅(木村拓哉)と同じ部署になり、懸命に仕事に取り組んでいた。あるとき、二人が担当することになった殺人事件の容疑者に、すでに時効が成立した事件の重要参考人・松倉重生が浮上する。その被害者を知っていた最上は、松倉に法の裁きを受けさせるべく執拗(しつよう)に追及するが、沖野は最上のやり方に疑問を抱き始め……。

予告

酒向芳の狂気すぎる演技

木村拓哉と二宮和也の競演で注目を浴びていますが、一番の見どころは松倉重生役、酒向芳の狂気すぎる演技だと思います。

静かにしていても、笑顔でいても、その裏に隠されている気味の悪さをずっと放ち続けるその演技は、見てて本当に怖いです。正直、こんな人が近所に住んでいたら絶対近寄らないと思います。

酒向芳という役者を今までまったく存じてなかったのですが、これから要注目です。

木村拓哉の狂気

木村拓哉はいつも通り木村拓哉。それでも、最上毅という人物を演じるのにはものすごく適しているのではないかと思います。

どうして、と言われると理由を明確に表現出来ないのですが、ちょっと緩い場面と緊張した場面の絶妙なバランス感が個人的には良かったのだと思います。

ただ、「狂気」という怖さで言えば誰よりも薄い印象を持ちます。

根っからの変人である松倉や、闇社会で生きる諏訪部が「狂気」を持ち合わせているのは当たり前で、この二人の狂気ははっきりと伝わってきます。

本来一番の「狂気」を持ち合わせているのは、私情で事実を捻じ曲げようとする最上のはずなのですが、木村拓哉の演技からはそこまでの「狂気」が伝わってきません。

自らの信念を貫き通そうとする強さであったり、それでも揺れる葛藤であったり、演技自体はとても緊張感を感じられてよかったのですが、その点だけが個人的に残念なところです。

二宮和也のテクニック

木村拓哉はすごく役のイメージを練って演技をしていそうですが、二宮和也は憑依型とでも言うのか、自然と役になりきっている感じがします。

本作で一番喜怒哀楽の感情が入り乱れるのが二宮演じる沖野だと思うのですが、急な感情の変化でも自然に見えるのが二宮和也のすごいところだと思います。

もしかしたら、それは自然なことではなくて、二宮和也が長年役者として練り上げてきた一つのテクニックなのかもしれません。

吉高由里子がかわいい

いや、吉高由里子がかわいい。単純に、かわいい。おかっぱ頭の吉高由里子、かわいい。

すごくどうでもいい話ですが、吉高由里子が「ATM」という言葉を発した瞬間に頭の中は某CMの映像に一杯になってしまいました。普段流し見しているCMも、やっぱり刷り込まれているもんですね。

全体的に演出が気持ち悪い

原田眞人監督の作品を見たことがないので、そういう作り方をする方なのか、そもそも原作通りなのかわからないのですが、全体的に演出が気持ち悪いです。グロテスクとかそういう意味ではなく、もやもやした感覚がずっと続く感じだったり、意識がいろんなところに飛んでしまって一点に集中出来ない状態になったり、そういった気持ち悪さがあります。

どうしてそこにそれを配置したのか、どうしてその役にその人を配役したのか、なぜ音楽をそういう風に使うのか。勝手に考えてしまう演出が所々で出てくるので、本来集中したい部分に集中が出来ません。

これが監督の良さであるとするならば、原田眞人監督の作品は私には合わないのかもしれません。

見る人によっては、全然違うものなのでしょうか。

原作を読みたくなる終わり方

小説が原作の作品だとどうしてもいろいろな部分を省かなければいけないのはどうしようもないことだと思うのですが、それにしたってこの終わり方は原作でもそうだったのか?と思わされます。

前半から中盤にかけての緊張感はものすごく魅入るものがあったのに、終盤のいろいろとすっ飛ばしている感に違和感を感じてしまいます。

最後も、原作はもっと細かく描写してくれてるのではないかと、原作を見ていないのに謎の「がっかり感」を感じる不思議な終わり方をします。

ということで原作小説を購入したので、ゆっくりと読みたいと思います。

評価

★★☆☆☆:2点

全国にて絶賛公開中

2018年9月18日時点で全国絶賛公開中です。